サイト売買は大きな金額が動く取引であり、契約書の整備は不可欠です。しかし「何を契約書に書くべきかわからない」「法的なリスクが心配」という方も多いでしょう。
本記事では、サイト売買における契約書の作成方法と法務上の注意点を、売り手・買い手双方の視点から詳しく解説します。
売り手が契約書で注意すべきポイント
売り手として契約書を締結する際は、以下の点に注意が必要です。特に「引き渡し範囲」と「表明保証の範囲」は後からトラブルになりやすい箇所です。
買い手が契約書で確認すべきポイント
買い手にとって契約書は「投資した資金を守る盾」です。特に表明保証・DD結果の反映・引き継ぎサポートの3点は必ず契約書に补強してください。
電子契約と書面契約:どちらを選ぶべきか
サイト売買の契約は電子契約(PDF署名・CloudSign等)と紙の書面契約の両方が選べます。個人間開題では電子契約が主流です。
よくある契約トラブル4選と対処法
実務で多い契約トラブルをパターン別に整理しました。事前に知っておくことでリスクを大幅に軽減できます。
契約後に行う手続きチェックリスト
契約締結後もやるべきことが多くあります。特に引き渡し完了の確認と記録保全は必ず実施してください。
- ドメイン移管完了を登録情報で確認する
- サーバーログイン情報の引き渡しをスクリーンショットで記録する
- Google Search Console / Analyticsの所有権移行を確認する
- 第一主導入元(アフィリエイト・広告アカウント)の完全切り替えを確認する
- 引き継ぎ完了後に売り手・買い手共に「引き渡し完了確認書」への署名を行う
- エスクロー利用の場合、引き渡し完了後にエスクロー解除申請を行う
| トラブルパターン | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 引き渡し範囲の認識ずれ | SNS・YouTubeチャンネルが実は含まれていなかった | 契約書に引渡对象物の列挙表を別紙添付する |
| 収益データの改ざん | 展示用に収益を膊上げしていた | 該当月の実際の入金記録を添付有りの表明保証条項を盛り込む |
| 引き継ぎ応对なし | サポート期間・内容が曖昧だった | 対応日数・回数・方法を契約書に数値で記載 |
| 展示期間中の収益怒 | 展示期間中に広告単価が下がった | 展示期間中の収益変動について後払い調整条項を設ける |
| 電子契約 | 書面契約 | |
|---|---|---|
| 手軽さ | 遠隔地の相手とも即日締結可能 | 郵送・郵便が必要 |
| 法的効力 | 電子署名法に従えば武器届谐書と同等 | 公正証書など併用で刪別可能 |
| コスト | 無料~数千円/月(サービスによる) | 印刷・封筒・決済コストのみ |
| おすすめ場面 | 100万円以下の個人間取引 | 1,000万円以上の高額取引 |
- DD結果を契約条件に結びつける:デューデリジェンスで発見した問題点(ペナルティリスク・収益広告の解除リスク等)は契約書に明記し、実況と異なった場合の強制返適・衝害賠償請求の根拠にする
- 引き継ぎサポートの内容を具体化する:「サポートする」だけでなく、メール対応・チャット対応・対応日数・対応回数などを数値で記載する
- エスクローサービスの利用を記載する:プラットフォームのエスクローを利用する場合は、支払い条件とエスクロー解除条件を契約書に明記する
- 環境决済条件を設ける:「引き渡し完了を確認するまで最終代金を支払わない」などの条件を設け、不完全な引き渡しを防ぐ
- 引き渡し対象を細かく列挙する:ドメイン・サーバー契約・SNSアカウント・メールリスト・ツールのアカウントなど、何を引き渡すかを漏れなく記載する
- 収益データの正確性を保証する:過去12ヶ月分のアナリティクスデータ・収益明細を添付し、データが正確であることを明記する
- 競業避止の範囲を交渉する:広すぎる競業避止は売り手の将来の活動を制約するため、ジャンル・期間・範囲を明確に限定する
- 免責事項を設ける:売却後の運営結果(収益の増減)については売り手の責任外であることを明記する
サイト売買で契約書が必要な理由
サイト売買は口約束だけで進めると、後からトラブルが発生するリスクが高まります。契約書を作成することで、取引条件を明確にし、双方の権利と義務を文書化できます。
特に以下のようなトラブルは、契約書があれば多くの場合防ぐことができます:
- 「言った・言わない」のトラブル
- 引き渡し範囲の認識齟齬(SNSアカウントは含むのか?など)
- 売却後に売り手が同ジャンルのサイトを再開したケース
- 収益データが実際と異なっていた場合の責任の所在
契約書に必ず記載すべき8つの項目
| 項目 | 内容 | 重要度 |
|---|---|---|
| 売買対象物 | ドメイン・サーバー・コンテンツ・SNS・メールリスト等の範囲 | ★★★ |
| 売買価格 | 金額・消費税の扱い・支払い通貨 | ★★★ |
| 支払い方法・時期 | 一括・分割・エスクロー利用の有無 | ★★★ |
| 引き渡し時期・方法 | 支払い確認後○日以内に引き渡しなど | ★★★ |
| 表明保証 | 収益・PVデータの正確性、第三者の権利侵害がないこと等 | ★★★ |
| 競業避止義務 | 同ジャンルのサイト運営禁止の期間・範囲 | ★★☆ |
| 引き継ぎサポート | サポート期間・対応内容・対応頻度 | ★★☆ |
| 秘密保持 | 取引内容・収益情報の第三者への開示禁止 | ★★☆ |
表明保証とは?なぜ重要なのか
表明保証とは、売り手が「売却するサイトに関して以下の事実が正確である」ことを保証する条項です。
- 収益・PVデータが正確で改ざんされていないこと
- サイトが第三者の知的財産権を侵害していないこと
- Googleペナルティを受けていないこと
- コンテンツが著作権法に違反していないこと
- 売り手に売却する権限があること(共同運営の場合は全員の同意)
表明保証に違反した場合は損害賠償請求の根拠となります。買い手は必ずこの条項を契約書に盛り込みましょう。
競業避止義務の注意点
競業避止義務とは、売り手が売却後に同じジャンルのサイトを運営することを禁止する条項です。ただし、あまりに広範囲・長期間の設定は法的に無効となる場合もあります。
| 一般的な設定範囲 | |
|---|---|
| 禁止期間 | 6ヶ月〜2年が一般的 |
| 禁止範囲 | 売却したサイトと同一ジャンル・同一キーワード群 |
| 地理的範囲 | 個人サイト売買では通常「日本語圏のウェブ」 |
プラットフォーム提供の契約書テンプレートを使う場合の注意点
ラッコM&AやSITE STOCK等のプラットフォームは契約書テンプレートを提供していますが、以下の点は必ず確認・追記しましょう:
- 引き渡し対象物のリストが自分の取引内容と一致しているか
- 競業避止の範囲が適切か(広すぎないか・狭すぎないか)
- 表明保証の内容が十分か
- 引き継ぎサポートの期間・内容が明記されているか
金額が大きい取引の場合は、弁護士に契約書のレビューを依頼することを強く推奨します。
まとめ:契約書は双方を守るための最重要書類
サイト売買における契約書は、売り手と買い手の双方を守るための最も重要な書類です。プラットフォームのテンプレートを活用しつつ、取引の内容に合わせて必要な条項を追加・修正して使いましょう。
契約書に盛り込むべき必須条項チェックリスト
サイト売買の契約書を作成・確認する際は、以下の項目が網羅されているかを必ずチェックしましょう。特に個人間取引ではテンプレートをそのまま使いがちですが、取引内容に応じたカスタマイズが不可欠です。
- ✅ 当事者の特定:売り手・買い手の氏名または法人名・住所・連絡先
- ✅ 譲渡対象物の列挙:ドメイン名・サーバー契約・WordPressデータ・SNSアカウント・ASPアカウント等を別紙に明記
- ✅ 売買代金と支払い方法:金額・支払い期日・支払い方法(エスクロー利用の有無)
- ✅ 表明保証条項:収益データの正確性・第三者権利の非侵害・Googleペナルティの有無
- ✅ 引き渡し期限とサポート期間:引き渡し完了日・アフターサポートの期間と内容
- ✅ 競業避止義務:禁止期間・禁止範囲(ジャンル・地域・媒体)の明記
- ✅ 瑕疵担保責任:表明保証違反時の損害賠償・返金条件
- ✅ 秘密保持義務:取引内容の第三者への非開示
- ✅ 準拠法と管轄裁判所:紛争時の解決方法
アドバイザーの視点:契約書で最もトラブルになりやすい3つの条項
実務で多くの契約書を見てきた中で、トラブルの原因になりやすい条項TOP3をご紹介します。
1. 表明保証条項の範囲
売り手が「PV・収益データは正確です」と保証する条項ですが、保証する期間と範囲を明確にしないとトラブルの元になります。「直近6ヶ月のGA4データに虚偽がないこと」のように具体的に記載するのがポイントです。
2. 瑕疵担保責任(契約不適合責任)の期間
引き渡し後に「聞いていない問題」が発覚した場合の対応期間です。買い手は最低3ヶ月、できれば6ヶ月の期間を設けることをおすすめします。売り手にとっても、期間を区切ることで将来の紛争リスクを限定できるメリットがあります。
3. 引き渡し条件の具体化
「ドメイン、サーバー、コンテンツを引き渡す」だけでは不十分です。以下を具体的に列挙してください。
- ドメイン移管(移管元・移管先のレジストラ名を記載)
- サーバーデータ(FTP/SSH情報、データベースのエクスポート)
- SNSアカウント(X、Instagramなどの管理権限の移譲)
- ASP・広告アカウント(アフィリエイト提携の引き継ぎ or 新規申請の猶予期間)
契約書に関するよくある質問(FAQ)
Q. 口頭での合意でも法的に有効ですか?
A. 口頭での合意も民法上は有効ですが、後から「言った・言わない」のトラブルになりやすいため、必ず書面または電子契約で締結することを強く推奨します。特に数十万円以上の取引では書面化が必須です。
Q. 契約書は自分で作れますか?それとも弁護士が必要ですか?
A. 100万円未満の小規模案件であれば、プラットフォーム提供のテンプレートをベースに自作することも可能です。ただし、300万円以上の案件や複雑な条件を含む場合は弁護士へのレビュー依頼を強く推奨します。ラッコM&Aでは弁護士への無料相談サービスが利用できます。
Q. 競業避止義務はどこまで有効ですか?
A. 競業避止義務の有効性は、禁止期間・範囲・対価のバランスで判断されます。「5年間・全Webサイト禁止」のように過度に広範な条件は、公序良俗違反として無効になる可能性があります。一般的には1〜2年・同一ジャンルのWebサイトという範囲が現実的で、法的にも有効とされやすいラインです。
Q. 表明保証違反が発覚した場合はどうなりますか?
A. 契約書に損害賠償条項が明記されていれば、買い手は売り手に損害賠償を請求できます。金額が折り合わない場合は管轄裁判所での民事訴訟になるケースもあります。大きなトラブルを避けるためにも、売り手は売却前に正確なデータ開示を徹底することが最善策です。
契約書の法務についてさらに詳しく知りたい方、または実際の売却フロー全体を確認したい方は以下の記事もご参照ください。


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